17世紀のヨーロッパは中国磁器や日本の伊万里が人気
17世紀、東洋からもたらされた白磁は、西洋社会では憧れの芸術品でした。
ヨーロッパでは中国の磁器や日本の伊万里などがもてはやされていました。
純白で薄く、硬く艶やかな硬質磁器はヨーロッパでは未だにつくりだすことのできないものであり、列国の王侯貴族、事業家たちはやっきになって製法を見つけようとしていました。
「マイセン」誕生
錬金術師ヨハン・フリードリッヒ・ベトガーは1708年、ようやく磁器に近いものを作り上げ、1709年には白磁製法を解明。
1710年、ついにヨーロッパ初の硬質磁器窯「マイセン」が誕生しました。
1710年、ドレスデンに「王立ザクセン磁器工場」が設立され、硬質磁器製造の独占権が与えられました。
これが現在の「国立マイセン磁器製作所」の始まりです。
数か月後に磁器工場は25km離れたエルベ川沿いのマイセン地方・アルブレヒト城の内部に移され、厳重に機密が保持されました。
マイセンは地名であり、マイセン磁器も意味する
「マイセン」は、ザクセン州の町の名前であると同時に、国立マイセン磁器製作所が作る「マイセン磁器」も意味します。
マイセンのトレードマーク
マイセンはエルベ川の舟運により材料・製品の輸送が容易であり、また近辺には露天掘りでカオリンを採掘できるザイリッツ鉱山もあり、この立地条件の良さが現在に至る繁栄を支えてきました。
初期のマイセンのデザインは中国の五彩磁器や日本の伊万里焼の影響を受けていますが、
1720年にウィーンから招かれた絵付師ヨハン・グレゴリウス・ヘロルトらによってヨーロッパ的なロココ調の作品が主流になりました。
贋作防止のため、マイセンの陶磁器には交差した2本の剣のトレードマークが1723年から用いられており、これは現在まで使われているトレードマークの中ではもっとも古くからあるものの一つです。
「マイセンクリスタル」とは
ポーランド北西部シュテッティーン出身のホルスト・ゼンディッヒは、第2次世界大戦の混乱が続く1947年に、マイセンにクリスタルガラス研磨工場 「ホルスト・ゼンディッヒ」を設立。
手作業によるクリスタル製品はすぐに有名になり、1956年にはアメリカへの輸出が始まりました。
しかし、1972年、「ホルスト・ゼンディッヒ」は、東ドイツ政府によって国営化され、「VEB(国民所有企業) マイセンブライクリスタル」となりました。
国営化後も、専門家として引き続きマイセンクリスタルを支えたゼンディッヒにとって、この時期は苦悩の時代でありましたが、新しい国の管理下で、それまでは実現不可能であった、マイセン磁器製作所の柄を用いたグラスの製作が可能となりました。
マイセン磁器製作所の協力を得ることにより、ガラス仕上げ加工の芸術性を、さらに高い水準に引き上げることができ、結果的に国営化はマイセンクリスタルにとって実り多いものになったといえます。
国営化から民間企業へ
現在のマイセンクリスタル
1990年7月1日、東西ドイツの再統一前に、ホルスト・ゼンディッヒの手に会社は戻り、「VEB(国民所有企業)マイセンブライクリスタル」は、「マイセン ブライクリスタル ホルスト・ゼンディッヒ」となります。
1994年、彼の死後、妻・マリーズが事業を引き継ぎ、「マイセナーブライクリスタル社マリーズ・ゼンディッヒ」となり、現在に至ります。
ハンドカットによる定番の花柄シリーズや、高度な色被せ技法から生まれる多彩なコレクションで、マイセンクリスタルは世界中のファンを魅了し続けています。
マイセンクリスタルの製品は、すべて手作業で作られ、マイセンクリスタル社のロゴであるM と職人のイニシャルがつけられます。
他のメーカーとコラボした「マイセングラス」
マイセンが他メーカーとコラボレーションし、誕生したグラスウェアが「マイセングラス」です。
その一つは、チェコの名門「モーゼル社」と提携して生まれた「波の戯れ」。マイセンのアーティストがデザインした「波の戯れ」のレリーフを、モーゼルの名工たちが繊細なグラスに作り上げています。
もう一つは、ヨーロッパの王侯貴族から愛され、長い伝統を誇る「テレジアンタール社」とコラボレーションしたグラス。マイセン磁器に合うグラスウェアにマイセンの剣マークを入れています。
年代を並べてみると
マイセン(磁器)
1710年 ヨーロッパ初の硬質磁器窯「マイセン」が誕生
1720年 ウィーンから招かれた絵付師ヨハン・グレゴリウス・ヘロルトによってロココ調の作品が主流となる
マイセン(クリスタル)
1947年 ホルスト・ゼンディッヒは、マイセンにクリスタルガラス研磨工場 「ホルスト・ゼンディッヒ」を設立
1972年 「ホルスト・ゼンディッヒ」は、東ドイツ政府によって国営化され、「マイセンブライクリスタル」となる
1990年 東西ドイツの再統一前に、「マイセンブライクリスタル」(国有企業)は「マイセン ブライクリスタル ホルスト・ゼンディッヒ」(民間企業)となる。
磁器もクリスタルも「エーレンフリート・ヴァルター・フォン・チルンハウス」
万能の学者として知られるドイツの「エーレンフリート・ヴァルター・フォン・チルンハウス」(1651-1708)は、マイセンクリスタルを語る上で欠かすことのできない人物です。
哲学者、数学者、物理学者であり、生物学者でもあった彼は、スピノザやニュートンら、同時代の名だたる学者とも親交を持つ一流の知識人として活躍しました。
チルンハウスは、ヨーロッパでもっとも早い1704年に磁器の焼成に成功した人物と言われています。
1709年、彼の研究を受け継いだヨハン・フリードリヒ・ベットガーが、磁器の生産技術を完成させたことが、マイセン磁器の始まりでした。
時を同じくして、マイセンと同じくザクセンの土地に、クリスタルガラスを誕生させたのもこのチルンハウスだったのです。
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